株式会社国際協力銀行2018年度
新卒採用情報

PROJECT

JBICのプロジェクト

Project 05

プロジェクトはどのように組成されるか
~融資検討から融資契約調印まで~

OUTLINE

プロジェクトのアウトライン

イクシスLNGプロジェクト向け
プロジェクトファイナンス

日の丸プロジェクト。この案件がそう呼ばれるのは、世界でも大型のLNG開発プロジェクトを国際石油開発帝石(INPEX)が操業主体(オペレーター)を担い、そのINPEX及び日本の電力・ガス会社が本プロジェクトの権益の約7割を保有するだけではなく、生産される液化天然ガス(LNG)の約7割を日本企業が引き取るからだ。JBICの1件あたりの融資承諾額(ドル建)としては過去最大級の案件である「イクシスLNGプロジェクト」は、どのように組成されていったのだろうか。プロジェクトの担当者(石油・天然ガス部第1ユニット 沼田 雄人(1999年入行)当時)の思い出を交えつつ、融資契約書の調印までの道のりを辿ってみる。

PROFILEプロフィール

沼田 雄人
資源ファイナンス部門
石油・天然ガス部
第1ユニット(当時)
STEP 01

前例のない巨額プロジェクトに対し、本格的に融資検討を開始

事前に役員会において融資取上げ方針の了承を得た上で、2011年初旬に、INPEXから本件の必要資金に関してプロジェクトファイナンスによる融資要請を正式に受け、本格的に融資検討がスタートする。巨大なガス・コンデンセート田を開発し、LNGとして液化する事業を一体で行うため、プロジェクトとして非常に大きな案件であった。

STEP 02

東日本大震災による日本国内の電力供給の見直し

2011年3月に発生した東日本大震災を受けて、日本国内の原子力発電の稼動の先行きが不透明になり、その一方で原子力に代わる代替エネルギーとして、天然ガス火力発電の重要性が高まっていく。日本にとって中長期的なLNG供給源の確保が求められる中、本件が日本のエネルギー資源安定確保の観点からもその重要性を高め、注目を集めていくのを肌で感じた。

(出典:国際石油開発帝石HP)

STEP 03

各分野のコンサルタントにプロジェクト
リスクのレビューを依頼

本件は西豪州沖合に位置するガス・コンデンセート田を開発し、原料ガスを約889kmの海底パイプラインでダーウィンに建設される液化設備まで輸送し、そこでLNGなどを生産するものであるが、開発計画や生産設備などについての技術面での検証、ガス・コンデンセート田の埋蔵量評価、LNGなどを販売する上でのマーケット面での検証、保険、LNG船の検証など、各分野のコンサルタントにプロジェクトに関連するリスクのレビューをしてもらい、プロジェクトの審査を進めていった。

STEP 04

環境に対する影響を確認するための
サイト実査と現地政府との協議

大型の案件の及ぼす環境への影響は計り知れない。本件による環境への影響が回避・最小化されているか、豪州連邦・州政府による環境アセスメントや許認可の内容などを確認した。また、実際にプロジェクトサイトを訪問し、プロジェクト実施主体や現地政府との対話も行った。

STEP 05

スポンサーとのタームシート交渉

コンサルタントのレビューを踏まえながら、各プロジェクトリスクを洗い出す必要がある。どのリスクを、誰がどのようにコントロール出来るのか。JBICは、外国法弁護士事務所の助言を受けつつ、韓国、豪州、フランス、ドイツ、オランダの各政府系金融機関などとも協議を重ねて、タームシート(注)についてスポンサーと交渉。最終的に、英文数百ページにも及ぶタームシートについて、スポンサーとの間で合意した。

(注)プロジェクトファイナンスにおいては、融資契約書作成の前段階として、契約上の主要な条件につき関係当事者間の合意を形成するために、各種リスク負担などを記載した書類を交渉のたたき台とするケースが通常であり、これをタームシートという。

STEP 06

取締役会

最終的なJBICへの融資要請額は総額50億ドル。融資金額が巨額であるため、融資案件としては初めて取締役会に付議することになる。JBICにおいて融資業務のチェックを行う業務企画室や審査部の確認を経た後、取締役会に至るまで、JBIC内部の様々な会議を通じて説明、了承を得るプロセスがあり、担当部門長以下一丸となって一歩ずつ前進。そして、最後に取締役会で融資方針が了承され、ほっと一息。

STEP 07

融資契約書の作成(ドキュメンテーション)と契約交渉

合意されたタームシートをもとに、弁護士事務所が次々と作成する融資に関する各種契約書案のレビューを行う。この段階では、本邦メガバンクをはじめとする民間協調融資銀行も出揃い、非常に多くの関係者の間で作業が行われる。重要事項についてはタームシートの中で合意していたので、スポンサーとの融資契約書の交渉は比較的スムーズに進んでいくが、様々な契約書の内容を確認していくのは本当に骨の折れる作業だ。

STEP 08

融資契約書の調印

融資契約書最終案をセットして、融資の最終決定に関する役員会にて了承が得られ、無事に2012年12月に融資契約書に調印。国際金融市場において過去に組成された中で最大規模のプロジェクトファイナンスの案件となり、スポンサーやレンダー、その他多くの関係者にとって素晴らしいクリスマスプレゼントとなった。

STEP 09

日本のエネルギー資源安定確保に向けて…

本件は、INPEXが日本企業としては初めて、ガス田などの開発からLNGなどの生産までを一貫して行う操業主体(オペレーター)を務めるという点においても注目を受けた。融資契約書の調印まで、決して平坦な道のりではなかったが、このような政策的意義の高い案件を担当することができ、そして、無事にこのプロジェクトへの融資を纏めることができたことに誇りとやりがいを感じている。

Project 01

フリーポートLNGプロジェクトの
LNG輸送船調達に対する
プロジェクトファイナンス

Project 02

台湾における石油化学事業に
対する出資

Project 03

英国の高速鉄道計画に対する
プロジェクトファイナンス

Project 04

J-MRVで温室効果ガスの
排出削減量を「見える化」する

Project 05

プロジェクトはどのように組成されるか
~融資検討から融資契約調印まで~