株式会社国際協力銀行RECRUITING SITE

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WORK & PERSON
PROJECT #01

JBICが携わるプロジェクト

日本企業によるベースメタルの
安定調達に向けて 米国モレンシー銅鉱山の権益取得に対する融資

プロローグ

 銅は、電線、電気電子機器、自動車、建材などの幅広い用途で使用され、日本の産業にとって必須の金属資源だ。国内消費量の全量を輸入で賄う日本にとって、銅資源の長期安定的確保は喫緊の課題となっている。一方、グローバルな資源獲得競争の激化、資源保有国での資源ナショナリズムの高まり、銅鉱山の奥地化・高地化に伴う開発の難易度の上昇などを主因に、銅資源の獲得競争は引き続き厳しい状況にある。
こうした中、JBICは2016年6月、住友金属鉱山(株)の100%出資子会社である米国法人Sumitomo Metal Mining America Inc.(SMMA)との間で、融資金額7億米ドル(JBIC分)を限度とする貸付契約(注1)を締結した。本融資は、住友金属鉱山がSMMAの子会社を通じ、米国アリゾナ州のモレンシー銅鉱山の権益13%を、米国法人Freeport-McMoRan Inc.の関連会社から取得するために必要な資金として、SMMAに対して融資するものだ。

Project Member

豊田 健
資源ファイナンス部門
鉱物資源部
調査役
森本 聡一郎
資源ファイナンス部門
鉱物資源部
副調査役

MISSION

日本にとって重要な金属資源・銅の
長期安定確保に寄与する

豊田

 住友金属鉱山は、住友商事(株)と共同で1986年からモレンシー銅鉱山の開発・運営に参画しており、JBICも1995年から同鉱山の開発・運営について住友金属鉱山を支援してきています。
また、住友金属鉱山は、銅精鉱(銅鉱石を処理し純度を高めた銅の中間品)の確保(注2)に留まらず、最終製品である電気銅(銅製錬所にて99.99%以上に電解精製された高純度の銅)も広く含めて、2021年度までに年間30万トン(銅純分ベース。以下同様)の銅権益を確保することを目標に掲げています。
 本プロジェクトにより、住友金属鉱山は産出される銅精鉱・電気銅について、その出資比率(13%)に対応する数量を引き取ることとなり、これは住友金属鉱山が目標とする年間の銅権益30万トンの約20%に該当する規模となります。銅事業を取り巻く環境を考慮すれば、こうした住友金属鉱山の取組みをJBICが支援することは、日本にとって重要な金属資源である銅の長期安定確保に寄与するものです。

ACTIVITY

共通のゴールに向け、
会社の枠を超えてディールに取り組む

森本

 本件は住友金属鉱山によるM&A(権益一部買収)であり、フリーポート・マクモランと住友金属鉱山との30年余に及ぶ強固な信頼関係に基づくディールでもあることから、JBICとしては、住友金属鉱山が築いてきた信頼を損なわぬようスピーディーな対応を行う必要がありました。融資の承諾・決定に至るまでには、政策金融としての支援の適格性の確認、融資スキームの検討、与信審査、環境審査、契約交渉、必要書類の徴求等多岐にわたるプロセスが存在しますが、これら全ての手続きを、半年弱という短いスパンの中で、ターゲット日を見据えつつ、確実に実施していく作業はとても緊張感のあるものでした。
 資源価格の下落により、世界の鉱山会社が鉱山の新規開発を停止し、また不採算鉱山の閉鎖・操業停止を行う中、日本企業の住友金属鉱山が競争力のあるモレンシー銅鉱山の権益を買い増すことは、日本の銅資源確保の観点から極めて重要と考えておりますが、このような公的な使命感を住友金属鉱山の方々と共有しながら案件を進めることができたと強く感じています。共通のゴールに向かって、必要なプロセス・段取りを共有できたこと、いわば会社の枠を超えて「チーム」として取り組めたことが、限られた時間の中でディールを成立させることができた要因だと思います。

TALK

 

豊田

 住友金属鉱山は、他社がなかなか手を出さない時期に難しい判断をしてM&Aによる優良な銅鉱山権益を買い増しましたが、JBICにとっても資源確保及び政策金融機関の使命という観点から非常に重要な案件でした。案件の意義とJBICの使命感が見事にマッチした案件にタイムリーに支援できたという意味で、手応えも大きい案件となりました。

森本

 日本の資源確保のために働きたいと考えてJBICに入行した私は、本件を通じてその思いが果たせたと実感するとともに、住友金属鉱山の方々も「日本の銅資源確保」へ強い思いを抱きながら、日々仕事をされていることに強い感銘を受けました。今後も政策金融機関の一員として、日本企業による資源確保を支援し、日本の将来を支え続けたいと考えています。

(注1)本融資は、(株)三井住友銀行、(株)三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行(株)、(株)みずほ銀行、三菱UFJ信託銀行(株)、(株)伊予銀行、(株)常陽銀行、(株)京都銀行、(株)百十四銀行との協調融資によるもので、協調融資総額は10億米ドルです。
(注2)住友金属鉱山をはじめとする金属銅を製錬する企業は、国内に製錬所を有しており、従来から、かかる国内製錬所の原材料である銅精鉱の確保を企図し、鉱山開発に参画していた。