私たちの使命#1

ポストコロナを見据え、日系自動車メーカーの競争力向上に貢献したい

国内製造業振興や環境保全を推進するインドの政策にも合致

OUTLINE

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潜在的な可能性を秘めており、日系自動車メーカーにとっても非常に重要であるインドの自動車市場。コロナ禍による同国の経済停滞の影響を受けた日系自動車メーカーへの支援を目的に、JBICは2020年10月、同国の地場銀行であるSBIとの間で融資契約を締結。その後、コロナ禍による同国の経済停滞が収まりつつあり、自動車販売が回復する中、日系自動車メーカーのサプライチェーンの強靱化を目的に、JBICは2021年3月、SBIとの間で新たな融資契約を締結しました。本件を担当した渡部耀元は、日系自動車メーカーとSBIの双方のニーズを丁寧にすり合わせ、関係者全員にとってWin-Winのスキームを作りあげました。本件を通して実感したJBICの、そして自身の使命とは。

PERSON

総合職
渡部 耀元(2019年入行)
インフラ・環境ファイナンス部門
社会インフラ部
係員

インドにおける日系企業の
サプライチェーンを強靱化

販売台数ベースで世界第5位(2019年度時点)の規模を誇る、インドの自動車市場。潜在的な可能性を秘めているこの市場は、今後も大きな成長が期待でき、市場シェアの過半を占めている日系自動車メーカーにとって非常に重要な市場といえます。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大によってインドの経済は停滞し、自動車の生産や販売活動にも大きな影響がありました。こうした状況を受けて、JBICは2020年10月、同国における日系自動車メーカーの生産・販売活動全体に円滑な資金供給を行うことを目的として、インド法人インドステイト銀行(State Bank of India(以下、SBI))を通じた支援を実施しました。

その後、同国ではコロナ禍による経済停滞が収まりつつあり、自動車販売が回復する中、日系自動車メーカーのサプライチェーンを構成するサプライヤー(部品メーカー)やディーラー(販売代理店)などにおいて新規の資金需要が見込まれています。そこでJBICは2021年3月、同国における日系自動車メーカーのサプライヤー及びディーラーが行う製造・販売事業、そして日系自動車メーカーの製造する環境配慮車両の販売金融を支援するため、SBIとの間で融資契約を締結しました。

私は本件を進める上で、日系自動車メーカーとの面談を通して彼らのニーズを正確に把握することに努めました。その中で、日系自動車メーカーと地場のサプライヤー、ディーラーとの関係の深さを実感。こうした現地国企業を支援することが、ポストコロナを見据えた日系自動車メーカーの競争力維持・向上につながるのだと強く感じることができました。

日系企業と現地国にとっての
Win-Winを作りあげる面白さ

インド政府は国内製造業振興を図っており、自動車産業はその根幹にあたります。本件は地場のサプライヤー向けに融資を実施することから、こうしたインドの政策にも合致します。同国の財務省と面談して本件の支援内容をご紹介した際も、政策に合致するものとして歓迎されたのを覚えています。また、同国政府は温室効果ガスの削減や深刻化する大気汚染の解決のため、2017年から自動車への新たな燃費規制を、さらに2020年からは新たな排出ガス規制(Bharat Stage 6)を導入しています。環境配慮車両の製造・販売に注力している日系自動車メーカーを支援する本件は、インドにおける環境配慮車両の普及を促進させ、同国の環境保全政策にも沿ったものです。

このように日印両国にとって意義のある本件ですが、関係者間の利害調整には苦心しました。本融資は、同国の地場銀行であるSBIを通じて最終裨益者に資金を提供するスキームであることから、日系自動車メーカーとSBIの双方のニーズをすり合わせる必要がありました。そこで、本店のみならずニューデリー駐在員事務所にも全面的に協力してもらい、一つひとつの問題について粘り強く関係者と議論を続けました。その結果、関係者全員にとってWin-Winとなるスキームを作りあげることができました。

私は入行時から「Win-Winの関係を築けるビジネスの世界で、日系企業の海外展開支援を通じて、現地の産業発展や生活向上に貢献したい」と考えてきましたが、まさにその思いを体現できた案件でした。JBICでの仕事は、海外展開を企図する日系企業の話を実際に耳にすることができ、そうした企業に対して直接的に支援できる面白さがあります。今後も日系企業の進出が進んでいない地域・分野の事業支援に挑戦し、現地国の産業や生活の発展に貢献していきたいです。また、今まで培ってきたフランス語力を活かし、今後はアフリカ地域の業務にも従事してみたいと思っています。

PROJECT OUTLINE

JBICは2020年10月、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済が停滞するインドにおける日系自動車メーカーの生産・販売活動全体に円滑な資金供給を行うことを目的として、SBIを通じた支援を実施した。その後、インドにおいて、コロナ禍による経済停滞が収まりつつあり、自動車販売が回復する中、日系自動車メーカーのサプライチェーンを構成するサプライヤーやディーラーなどにおいて新規の資金需要が見込まれている。こうした中、同国における日系自動車メーカーのサプライヤー及びディーラーが行う製造・販売事業並びに日系自動車メーカーの製造する環境配慮車両の販売金融を金融面から支援することを通じて、ポストコロナの日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献することを目的に、JBICは2021年3月、SBIとの間で貸付契約を締結した。民間金融機関との協調融資総額は合計2,000百万米ドル(うちJBIC融資分1,200百万米ドル、民間金融機関の融資部分についてはJBICが保証を提供)。