JBICでは人材育成制度の一環として、国際機関や民間銀行の海外拠点、外交・経済政策を担う官公庁などへの出向を経験することができます。国際金融公社のイスタンブールオフィスに出向している駒井柚香は、中東・中央アジアのインフラ向け投融資を担当。様々なスペシャリストの知見を借りながら、難しくも面白いトルコのマーケットにどっぷり浸かり新規投融資の検討に没頭できるのは貴重な経験だといいます。出向先で得た気付きや、イスタンブールでの海外生活について聞きました。
鉱物資源部に所属していた頃、出向経験のある先輩方や、他社からJBICに出向されている方々とご一緒する機会に恵まれました。私にない視点を多く蓄積されている彼らを見て、出向というキャリアパスに関心を持つようになりました。入行前から開発途上国のインフラ開発に携わりたいと考えていた私にとって、世界銀行グループの一機関として、民間セクターの成長促進に向けた投融資を通じて開発途上国で暮らす人々の生活改善を支援している国際金融公社(以下、IFC)の業務はとても魅力的でした。開発金融機関としてJBICと一括りで語られがちなIFCですが、融資の条件や提供しているファイナンスメニューなどがJBICとは異なっており、開発金融機関で働く人間として視野を広げたいと考え、IFCへの出向を希望しました。
IFCのイスタンブールオフィスでは、中東・中央アジアのインフラ向け投融資を行うチームに所属。交通・輸送インフラや電気・水道など生活インフラのプロジェクトに対する新規投融資の検討や、既往債権の管理に担当者として従事しています。IFC内部にはマーケットや環境、気候変動、ジェンダーなど様々な分野のスペシャリストが在籍しており、彼らとチームになって連携しながら、稟議書や財務モデリングなどのドキュメントワークを進めています。
中にはトルコのマーケットに非常に詳しい同僚も多く、彼らの知見や蓄積から学びながら、難しくも面白い同国のマーケットにどっぷりと浸かってプロジェクトの検討に没頭できます。JBICでは得がたいこうした経験はとても貴重だと思っています。
出向先で挑戦していることの一つは、IFCのディスカッション文化に順応していくことです。多様なバックグラウンドを持つ方々が集まっているIFCでは、意識的に他者の意見に対して疑問を持ったり反対意見を言ったりすることが求められます。そこで私は、考えすぎずに疑問に思ったことを口に出してみることや、手応えがなくても打席に立ち続けることを心掛け、ディスカッションのスキルを高められるように日々奮闘しています。
世界中の様々な地域から集まったプレースタイルの異なる人たちとワンチームで働くと、このように様々な気付きが得られます。関係者全員が締切厳守を前提としてスケジュールを逆算して動くなど、日本では当たり前だと思っていたことも通用しない環境に初めはとても戸惑いました。そこで私が意識したのは、本当に重要なことと、そうでもないことを自分なりに判別すること。本当に重要なことは先輩やチームメンバーと密に連携して対応するという仕事の本質は、日本でも世界でも同じなのだと気付かされました。
引き続きIFCで日々の業務に地道に取り組みながら、開発金融機関職員としての引き出しや視野を広げていきたいです。この環境で吸収した様々な知見を活かし、今後も金融というツールを使って開発途上国の人々の生活水準向上にアプローチしていきたいと思います。そして、10年ほど経って自分の意思決定や判断で物事を進められるようになる頃には、より広い視野を持って、顧客に寄り添ったソリューションを提案できるようになっていたいです。
平日の業務終了後は、週に数回IFCの同僚とともにバレーボールやテニスで体を動かしています。トルコは日本ほど飲酒の文化が盛んではないので、アフター5の過ごし方がヘルシーになりました。休日も同僚と過ごすことが多く、イスタンブールの歴史地区や海沿いを散策したり、BBQや同僚の出身国の郷土料理を紹介し合うホームパーティーを皆で楽しんだりしています。
休暇のシーズンには、家族やJBICの同期など多くの方々がトルコまで遊びに来てくれるので、一緒にトルコ国内の遺跡を散策しています。欧州各地に点在している友人たちに会いに、連休を利用して海外旅行に行くのもお気に入りの休暇の過ごし方です。
イスタンブール生活で困っているのは食生活。多国籍料理店が想像以上に少なく、レストランのほとんどはトルコ料理です(中華街すらありません)。コンビニやお弁当文化もないので軽食が手軽に手に入らず、口に合う日本食を食べるには自炊をするしかありません。時間があるときは問題ありませんが、繁忙期や体調不良のときは大変です。
このように様々な面で日本と異なる海外生活を安心して過ごせるよう、JBICでは安全な地区に住むための家賃補助制度や、家族と離れて暮らす海外勤務者向けのサポートも手厚く、とても有り難いと感じています。