ウクライナ・周辺国支援の実現に向けて、今まで培った知識・経験を総動員

入行10年目(エネルギー・ソリューション部、総合職)職員のJBICライフとは

OUTLINE

ロシアの侵略を受けたウクライナへの支援を目的とした、ポーランド開発銀行の発行するサムライ債に対する保証案件を担当した清水勇佑。1日でも早く支援を実現するためG7広島サミットでの公式発表を目指し、約4か月という短期間で準備を進めました。経営企画部と電力・新エネルギー第1部を兼務し、それぞれの役割で案件を推進。サミット会期中に電撃来日を果たしたゼレンスキー大統領や、現地の避難民たちから謝意を示され、顔の見える支援にやりがいを感じたといいます。支援実現までの道のりや、本件で役立った知識・経験について聞きました。

PERSON

総合職
清水 勇佑(2014年入行)
資源ファイナンス部門
エネルギー・ソリューション部 第3ユニット
調査役
職務経歴
2014年
金融法務課
2016年
出向(日本政策投資銀行)
2018年
電力・新エネルギー第1部
2020年
経営企画部
2023年
エネルギー・ソリューション部

ウクライナ支援を目的とした
JBICならではの案件を担当

入行から約10年が経ち、私は政策金融機関のJBICでなければ携われない案件を経験しました。ロシアの侵略を受けたウクライナへの支援を目的とした、ポーランド開発銀行(以下、BGK)の発行する円建て外債(以下、サムライ債)に対する保証案件です。

2022年2月に起きた、ロシアによるウクライナ侵攻。日本政府はこれに毅然として対応するとともに、ウクライナへの揺るぎない支援の方針を打ち出しました。JBICも侵攻開始直後から支援策を検討しましたが、銀行という立場では、戦時中の国に対する直接的な金融支援は容易ではありませんでした※。そこで着目したのが周辺国。中でもロシアを除けばウクライナからの避難民を最も多く受け入れているポーランドを支援することで、間接的にウクライナをサポートしようと考えました。

侵攻から半年が過ぎた2022年9月、JBICとBGKは、再生可能エネルギーやインフラ等の拡充に向けた支援を企図した覚書を締結。具体的な支援先として、BGKが立ち上げた「ウクライナ支援基金」が候補に挙がりました。ウクライナから避難してきた人々に医療や教育、住宅、社会保障を提供するなど人道支援を目的とした基金で、避難民たちの生活費を賄う役割を果たしています。侵攻開始から1年が経ってポーランドにおけるウクライナ避難民が150万人に達し、基金への追加の資金調達が必要となる中、JBICは資金使途をウクライナ支援基金に限定したJBIC保証によるサムライ債発行をBGKに提案しました。BGKから要請を受け、実現に向けて動き出したのが2023年1月。1日でも早い支援が望まれる中、5月に開催されるG7広島サミットでの公式発表を目指し、約4か月という短期間での準備がスタートしました。

公式発表までの時間は極めて限られていました。そこで、当時経営企画部に所属していた私が、本件を担当する電力・新エネルギー第1部と兼務し、双方の役割を担うことで案件を推進しました。

10年分の知識・経験を総動員
避難民の支援を実現した

BGKにはサムライ債発行の前例がなく、契約書の内容から資金授受の方法まで全てがテーラーメイドでした。私は契約書の知識から案件遂行のノウハウまで、ジョブローテーションを通じて各部署で獲得してきた経験を総動員して対応しました。ポーランド政府の内諾を得られたのは、広島サミットの1か月前。誰もが間に合わないと考えていたはずです。そこで、日本側でできることは1日の内に全て調整し、夜遅くポーランド側へ返しきって翌朝のレスポンスを待つ、といった形で時差も駆使しながらラスト1か月を駆け抜けました。

こうして本件は、5月19日のG7開幕を前に公式対外発表にこぎつけました。会期中には電撃来日を果たしたウクライナのゼレンスキー大統領に対して、岸田首相が日本からの継続した支援を伝える中で本件を直接紹介し、ゼレンスキー大統領から謝意を表されました。また、G7閉幕後の5月末には、ポーランド・ワルシャワ近郊のウクライナ避難民施設を訪問。戦火を逃れた女性や子供たちを中心に100人ほどが過ごす施設で、多くの感謝の言葉とともに、子供たちから手形や名前が書かれた手作りの日の丸をいただきました。私たちが頑張って支援したお金が、現地の子供たちに行き渡っているのを実感でき、顔の見える支援に今までにない大きなやりがいを感じました。

本件は、入行後の10年間で培ってきた専門知識・経験を総動員して、ようやく成し遂げることができました。法学部で学んでいた大学時代とのギャップに圧倒されながら、必死で契約書と向き合った金融法務課時代。中堅・中小企業等案件を自力で成し遂げる強さを得た日本政策投資銀行への出向時代。インドネシアの地元住民たちと直接話して理解を得ながら、案件遂行のノウハウや喜びを学んだ電力・新エネルギー第1部時代。案件の意義を理解し、様々なステークホルダーと折衝する力が養われた経営企画部時代。さらに現在は、ウクライナの国担当であるエネルギー・ソリューション部に所属しており、さらなるウクライナ支援も検討しているところです。今まで蓄積してきた様々な知識・経験が、今まさにつながってきているように思います。

JBICへの憧れだけでなく
仕事をやり切る胆力も大切

学生の皆さんは、JBICに対してどのようなイメージを抱いているでしょうか。私自身は「国際的」、「巨額融資」、「若手の活躍」といったキーワードから連想される、華々しく格好良いイメージに憧れて入行しました。実際にJBICで働いてみても、そのイメージは何ら間違っていませんでした。

しかし、決して容易な仕事ではありません。数百ページにわたる契約書を隅々まで読まなくてはならなかったり、銀行ならではの仕事が待ち受けていたり、難しい交渉が必要だったり。一筋縄ではいかない仕事から逃げ出したくなる日も正直ありますが、その中で歯を食いしばって、目の前の仕事に顔面で向き合っていく胆力こそが大切なのだと感じています。

JBICに対する憧れ・愛着と、仕事をやり切ろうとする胆力・責任感。それらを持ち合わせた方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。

※ 現在、法改正により、ウクライナ⽀援目的で国際開発⾦融機関が支援する復興事業向け融資を保証できるようになっている。

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