【米国(世界銀行)】
出向経験者に聞く:国際機関では各国の関心事項が鮮明に

世界銀行の開発目標の達成に向けて、日本としての対処方針を作成

OUTLINE

JBICでは人材育成制度の一環として、国際機関や民間銀行の海外拠点、外交・経済政策を担う官公庁などへの出向を経験することができます。行内公募をきっかけに、入行8年目で世界銀行に出向した辻彩。日本理事室で日本としての対処方針を作成しており、年次総会では得がたい経験ができたといいます。国際機関に身を置くことで得られる成長や、娘・母と暮らす海外生活について聞きました。

PERSON

総合職
辻 彩(2016年入行)
世界銀行
職務経歴
2016年
産業投資・貿易部 第1ユニット
2018年
人事室 給与課
2020年
産業投資・貿易部 第1ユニット
2022年
財務部 財務課
2023年
世界銀行

少数精鋭でスピーディに
日本としての対処方針を策定

入行7年目で財務部に所属していた私は、日本政府に対してJBICの予算要求を行う業務を通じて、国の政策への関心を高めていました。その頃に掲示されたのが、世界銀行日本理事室への出向希望者を募る行内公募。もともと海外経験を積みたいと考えていた私にとって、まさに理想的なポストでした。初めはまだ幼い娘の成長や夫の仕事が気になり躊躇していましたが、「どんな選択をしても、夫は最後まで応援してくれるだろう」と信じて応募を決意しました。

世界銀行は、“To create a world free of poverty on a livable planet.”をビジョンに掲げる開発機関です。このビジョンを達成するために、「日本として何を期待し、どのように貢献できるのか」といった対処方針を策定し、世界銀行の理事会や委員会で表明しているのが日本理事室です。世界銀行に対する第2位の出資国である日本の立場を念頭に置きつつ、財務省国際局や他国と連携しながら世界銀行の業務遂行を監督しています。

情報量が膨大な世界銀行スタッフからの提案に対して、時差がある東京の財務省と連携を図りつつ、限られた時間で方針を導き出すのは決して容易ではありません。ときには他国から、「明日の会議で日本にも支持してほしい」といった相談が前日の夕方に持ち込まれることもあります。こうした難解な業務に、少数精鋭でスピーディに対応していく日々はとても刺激的です。

年次総会に参加して
国レベルの意思決定の過程を目の当たりに

特に印象に残っているのは、世界銀行の年次総会です。年次総会とは、世界銀行に加盟する189か国(2023年時点)の最高責任者によって意思決定・合意形成が行われる場。事前に事務局から新しい施策が提案されたので、私は担当分の対処方針を作成しました。その後、私が作ったものを含めて対処方針が一つにまとめあげられ、財務省内で議論され、日本としての立場が練りあげられていきました。こうした意思決定の過程を目の当たりにできたことは、とても貴重な経験だったと思います。

このように世界銀行では、日本を含めた各国がどのように世界の開発問題に貢献しているのかを肌で感じ取ることができます。各国が何に関心を持ち、どこに力点を置き、問題をどう捉え、どのような意見を表明するのかを、毎日直に見聞きできることこそ、国際機関への出向ならではの大きな魅力でしょう。

また、様々な国から集まっている同僚から、仕事の進め方や振る舞い方などの国際スタンダードを学ぶこともできています。他者の賛同を得たいときや、相手に都合の悪いことを言わなければならないとき、どのような言葉を使用し、どのように振る舞うのが効果的か。千差万別の表現に触れる中で、自分自身の引き出しが広がっていくのを感じています。

豊かな自然に囲まれて暮らす
娘・母との米国生活

海外赴任にあたり、家族が離れ離れになる不安は大きかったものの、夫の仕事での活躍を知っていたので、私は娘と母の帯同を希望しました。

娘の一番の理解者であった夫が不在の中、何とかスタートした米国生活。休日は、家の周辺を散歩しています。ワシントンD.C.の中心部から5駅ほどの場所に住んでいますが、想像以上に自然豊かで野生のリスもたくさんいます。娘の行動範囲がどんどん広がっており、知らない場所を探検するのが楽しいです。

季節ごとに町の雰囲気が大きく変わるのもワシントンD.C.の魅力です。クリスマスシーズンには、米国理事室の同僚が子供に山積みのプレゼントを用意すると聞いたので、我が家でもいろいろな物を包装紙に包み、娘が作ったツリーの前に飾りました。

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