入行当初から中南米地域での活躍を希望し、様々な経験を積むことで、入行17年目にメキシコシティー駐在員事務所に配属された東田陽平。顧客との面談や、メキシコ向け業務方針の作成、メキシコ国内外への出張など、多種多様な業務を遂行しています。海外駐在員の醍醐味は、国際ビジネスの最前線で、案件形成の初期段階から携わっていけることだといいます。メキシコシティー駐在員事務所の仕事内容やそのやりがい、家族とともに過ごす海外生活について聞きました。
私は入行当初から、中南米地域で働くことを希望していました。国際金融第3部ではコロンビアを担当し、スペイン・サラマンカ大学にも留学するなど、その思いを達成するために様々な経験を積み重ねてきました。そして、入行17年目になる2016年、ついにメキシコシティー駐在員事務所に配属されることになりました。
顧客との面談や会食、メキシコ向け業務方針の作成、メキシコ国内の自動車部品工場や発電所・鉱山などの融資先実査など、メキシコシティー駐在員事務所では実に多種多様な業務を行っています。メキシコの地方への国内出張や、中米など管轄国への外国出張もある一方で、東京本店からの出張者を受け入れることも私たちの役割です。
JBICでは現在、案件形成の初期段階から携わることに注力しており、日本企業の海外ビジネスを能動的に切り開いていくことが期待されています。その最前線に位置付けられるのが海外駐在員事務所です。現地にいるからこそ、メキシコ人や日系企業から生の情報をタイムリーに仕入れることができます。入手した様々な情報を組み合わせ、関係者を巻き込みながら、いかに案件構築につなげていくか。それこそが、海外駐在員の仕事の醍醐味だと思います。
海外では想定外のトラブルがよく起こります。アポイントメントの直前になって顧客にキャンセルされたり、大渋滞のために辿り着けなかったり、出張者が体調を崩してその対応に追われたり。赴任当初は苦労しましたが、常にもう一つのプランを想定しておくことで、今では多少のハプニングであれば動じることなく冷静に対処できるようになりました。
最も大きなハプニングは、2018年のメキシコ政権交代によって、政府関係の要人が全て入れ替わってしまったこと。一から人脈を作り直さなくてはなりませんでした。海外では人脈を一から構築するのは至難の業です。そこで、アポイントメントを取るために、各組織の代表電話にいきなり電話を掛けたり、他関係者から紹介してもらったり、セミナーで名刺交換をしたり、会食を行ったりと、あらゆる手段を行使。1年間かけて、ある程度の人脈を再構築することができました。
海外駐在で培ったトラブルへの対処方法や、人脈、仕事の進め方などは、これから様々な業務を行う上で大きな財産になることでしょう。今後は、政府系金融機関として顧客から何を求められているのかを意識しつつ、中南米やアジア地域を軸としたキャリアを築いていきたいと思います。
プライベートでは、家族との時間を大切にしています。一緒にテニスや映画を楽しんだり、子供の日本語の勉強を指導したり、ときには家族旅行にも出掛けたり。子供はインターナショナルスクールに通っていますが、この3年間で私より語学が上達し、友達もたくさんできたようです。その友達の誕生日パーティーに、一緒に参加したことも良い思い出です。
現在住んでいるマンションは、事務所まで車で約20分。セキュリティがしっかりしているので、夜間に出歩かなければ安心して過ごせます。しかし、病院では医者とスペイン語でコミュニケーションを取らなければならないなど、メキシコでの生活ならではの苦労も多いものです。メキシコシティーは標高約2,300mと高地にあることから、頭痛や不眠など軽い高山病の症状に悩まされることもあります。そのため、休暇を取る際には、メキシコシティーから離れて、メキシコ国内の地方都市や他の中南米地域などに家族で旅行し、リフレッシュするようにしています。