私たちの使命#2

洋上風力発電の海底送電事業を支援し、英国のエネルギー政策に貢献したい

再生可能エネルギー導入の最先端市場で、日本企業のノウハウ獲得を目指す

OUTLINE

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再生可能エネルギーの導入を推進し、洋上風力発電所の導入実績で世界をリードしている英国。JBICは2021年3月、三菱商事と中部電力などが出資する英国法人との間で、同国Hornsea1洋上風力発電所向け海底送電事業を対象としたプロジェクトファイナンス※1による貸付契約を締結しました。本件を担当した加藤大祐は、タイトなスケジュールに苦心しながらも、世界最大規模の送変電設備でヨークシャー沖合120kmからグレートブリテン島まで送電するプロジェクトへの融資を実現しました。本件を通して実感したJBICの、そして自身の使命とは。

PERSON

総合職
加藤 大祐(2019年入行)
インフラ・環境ファイナンス部門
電力・新エネルギー第1部 第2ユニット
調査役

再生可能エネルギーの導入を推進している
英国政府の脱炭素政策を後押し

英国政府は、2019年に気候変動法を改正し、2050年までに二酸化炭素ネット排出量をゼロにする法定目標を掲げて再生可能エネルギーの導入を推進しています。とりわけ英国の洋上風力発電所は、導入実績で世界をリードしています。こうした中、JBICは2021年3月、三菱商事と中部電力などが出資する英国法人との間で、同国Hornsea1洋上風力発電所向け海底送電事業を対象としたプロジェクトファイナンス※1(以下、PF)による貸付契約を締結しました。

本件は、本事業会社がヨークシャー沖合120kmにおいて、世界最大規模となる総発電容量1,218MWの送変電設備を所有・運営し、25年にわたり洋上風力発電所にて発電される電力をグレートブリテン島まで送電するプロジェクトへの融資であり、英国政府のエネルギー政策に沿うものです。直近ではコロナ禍の影響で現地規制当局との直接的な対話は叶っていませんが、JBICによる支援を歓迎している現地規制当局の思いは事業者などを介して伝わってきました。

また、同国の基幹インフラの一つとなるような意義のあるプロジェクトに関与できることには、大きなやりがいを感じました。入札開始から締め切りまで約3か月という非常にタイトなスケジュールの中、行内外関係者との協議や連日にわたるスポンサーとの交渉などを乗り越えられたのは、私に課された使命に共感できたからだと思います。

最先端市場で得た知見を
日本に還元できる喜び

一方、本件は日本にとっても意義のあるプロジェクトです。脱炭素社会の実現に向けた取組みは、多くの日本企業が経営計画などに盛り込んでおり、本件ではそのために必要な知見やノウハウを、再生可能エネルギーの導入が進んでいる最先端市場から獲得することができます。また、日本においても2050年カーボンニュートラル※2の実現に向けて洋上風力発電所を含む再生可能エネルギーの導入を推進している中、本件で得た知見・ノウハウを日本やアジア諸国に還元することも期待されています。

本行は、関係省庁の検討会で海外での海底送電事業における取組みや課題を紹介する機会をいただきました。その際、海外事業で得た経験を、日本における制度設計や再生可能エネルギーの導入に活かせる喜びを実感することができました。

全世界的に再生可能エネルギーの導入が急速に進んでいる中、JBICが今まで主に支援してきた発電セクターのみならず、送配電セクターの重要性がさらに高まってきています。JBICとして初の送電セクター向けPFとなった本件の経験を活かし、今後も送配電セクターの支援に取り組んでいきたいです。また、これから水素・アンモニアの製造・利活用や二酸化炭素の回収・貯留など新しい技術・分野が広がっていく中、私たちが政策金融機関としてリスクを取って日本企業の参画や民間資金動員を促すことで、脱炭素社会の実現に貢献していけると嬉しく思います。

PROJECT OUTLINE

日本政府は、2020年12月に策定した「インフラシステム海外展開戦略2025」において、世界的なエネルギー転換・脱炭素化に向け、技術的優位性などを持つ日本企業を支援することを表明している。また、再生可能エネルギー関連の海外投資に対して公的金融制度を積極的に活用する方針を掲げている。加えて、2018年7月に日本政府が発表した「エネルギー基本計画」※3において、政策金融を活用した事業における日本のユーティリティ企業などの参入促進を通じたエネルギー産業の国際競争力強化及び国際展開の推進が掲げられている。こうした中、JBICは2021年3月、三菱商事及び中部電力などが出資する英国法人との間で、英国Hornsea1洋上風力発電所向け海底送電事業を対象として、PFによる貸付契約を締結した。本件は、日本企業が出資者として事業参画し、長期に亘り運営・管理に携わる海外インフラ事業を金融面から支援することで、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するものである。

※1 プロジェクトファイナンス(PF):プロジェクトに対する融資の返済原資をそのプロジェクトが生み出すキャッシュフローに限定する融資スキームのこと。
※2 カーボンニュートラル:温室効果ガスの排出量を全体としてゼロとすること。
※3 エネルギー基本計画:2021年10月22日に第6次エネルギー基本計画が閣議決定され、新たな目標・施策などが策定された。

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