海外駐在員事務所トレーニー派遣 座談会

駐在員の業務を現地で体験。若手職員たちの学びや成長とは

OUTLINE

総合職として入行した全職員が、世界18か所ある海外駐在員事務所のいずれかに約3か月間トレーニーとして派遣される「海外駐在員事務所トレーニー派遣制度」。派遣先では出融資案件の形成支援やリサーチ業務といった駐在員の仕事の一端を体験することで、国際ビジネスの最前線の雰囲気に触れながら、JBICの役割や業務について理解を深めていきます。現地での3か月を通してどのような学びや成長を得たのかを、ニューデリー・シドニー・メキシコシティーに派遣された職員が語り合いました。

PERSON

総合職
石井 彪之(2023年入行)
インフラ・環境ファイナンス部門
社会インフラ部 第2・第3ユニット
係員
総合職
神崎 朱里(2023年入行)
エクイティファイナンス部門
エクイティ・インベストメント部 第1・第2ユニット
係員
総合職
笹治 良太郎(2023年入行)
資源ファイナンス部門
エネルギー・ソリューション部 第3ユニット
係員

業務を体験し見えてきた
エリアの特色や最新の動向

笹治派遣先の海外駐在員事務所では、トレーニーは現地企業との面談に同席したり、事務所運営のサポート業務を担ったりと、駐在員が行う幅広い業務を経験できる。その中で感じた管轄国・地域の特色や動向などはあった?

石井ニューデリー駐在員事務所では地場企業を中心に面談が連日のようにあり、日本企業によるインド投資が活況であることを実感したな。これまでは在籍する社会インフラ部の目線でインド案件を見ていたのが、製造業や電力といった他のセクターも含めて、どのような案件が現地で実際に検討・推進されているのかを知り、インドの投資環境全体への理解が深まった。事務所のインド人リサーチャーと協力して、東京本店の案件の進捗をサポートする業務を経験できたことも有意義だった。

神崎派遣先のシドニー駐在員事務所では、資源メジャーと呼ばれるエネルギーセクター大手企業との面談に同席する機会もあり、資源大国・豪州のビジネスの最前線に触れることができたと思う。豪州は水素などの次世代エネルギーや再生可能エネルギー分野でもポテンシャルが高い国。これまであまり触れる機会のなかったそうした分野への理解が進んだ。日本から出張で来た役員に同行して、現地政府関係者や企業CEOとのハイレベルな対話を間近で見られたことも学びが多かったな。

笹治メキシコシティー駐在員事務所では取り扱うセクターが多岐にわたり、面談への同席を通じて多様な分野を知ると同時に、JBICの幅広い金融メニューについて理解を深める機会になった。派遣期間中にちょうど、メキシコシティー駐在員事務所が官民連携で共催した「日墨水素フォーラム」があり、オールジャパンでメキシコの産学関係者を巻き込み、メキシコにおける水素関連の案件形成に向けた流れを創出していた。来たる水素社会に向けて政策金融機関であるJBICが貢献できることは大きいと感じてわくわくしたよ。

外から日本を捉えることで
国際関係を深く考える機会に

神崎トレーニー派遣を通じて、日本の外で今何が起こっているのかを肌感覚で学ぶことになるよね。豪州に視点を移したことで、地政学的な情勢の中で日本が置かれている環境や、各国の政策の意図を外から勉強する機会になった。日米豪連携や、インドを加えたQUAD連携の強化につながる案件の組成を支援することもシドニー駐在員事務所の重要な役割。そうしたダイナミズムの中で自分が仕事をしているのだと改めて気付いた。

笹治確かに、国と国との関係について深く考える機会になる。様々な分野の案件に触れる中で、メキシコや中南米の経済圏が米国を中心に動いていることを強く感じた。日本企業のメキシコでの事業展開を支援する際に、日本・メキシコ・米国の全てがwin-win-winとなる関係を築くことが欠かせないと学んだ。

石井インドの立ち位置について理解が深まったと実感する。米国・中国のどちらにも依存せず成長していこうとする国としての姿勢が見えた。日本をはじめ外国企業が関与する電力やインフラ、製造業のプロジェクトに対する政府のコミットメントも高い。それも高成長の原動力だと感じたな。

笹治派遣先で心掛けたのは自分から「この業務に挑戦したい」と意思表示すること。ともすると、トレーニー期間を“お客様”のような立場のままで終えてしまう可能性もあるよね。それで自ら志願して、現地の日系企業団体とのオンライン面談の場で、JBICを紹介するプレゼンを任せてもらえた。本店所属の部署が出融資担当部門ではなかった自分にとって、難しいチャレンジだったけれど達成感も大きかったな。

神崎日々の業務でやりがいを感じたことの一つは、日本から出張で来る役職員の受け入れの準備。移動手段やホテルの予約も日本のようにメール1本で確約される文化ではないので、メール予約のあとに電話で念押しし、さらにホテルからも確約のメールを必ず送ってもらうようにして。こうした事前準備にも積極的に関与し、当日滞りなく出張が進んだ際は一安心した。

石井現地でしか得られないものを学ぼう、つかみ取ろう、という能動的な姿勢は大切だよね。面談に同席する際も、顧客がJBICに何を求め、それに対しJBICはどのような提案をするのかを書きとめ、疑問点はあとで駐在員に質問するようにした。その積み重ねで徐々に、現地企業のニーズや案件への温度感などをつかむことができたと思う。

オフの時間を有効活用し
現地の文化に触れる体験

石井入行1年目から英語ウィークリー・レッスンを受講して英語力アップに努めてきたことは、派遣先での業務にも役立ったよ。とはいえインド英語に慣れるには、やはり現地で実際に触れて場数を踏むことが一番の近道だと実感した。

神崎渡航直前のレッスンでネイティブ講師から、事務所の面談で実際に使いそうなビジネス英語のフレーズを教えてもらえたのが良かったな。気軽に質問できるのはマンツーマンレッスンならでは。現地での電車の乗り方なども聞けて、安心感につながった。

笹治準備に手が回らずスペイン語をほとんど勉強しないまま渡航したことは反省点。事務所の業務は英語が基本だったけれど、メキシコシティーの街中で聞こえてくる言葉が全く分からず、最初は外出するのも少し怖かった。それでも徐々に単語を覚えて、英語を交えたり翻訳アプリを駆使したりしながら街中でもコミュニケーションをとれたよ。

石井インドの食事や水事情に不安があったけれど、滞在先ホテルはとても快適で、体調を崩すことなく過ごせた。オフにはインド各地を旅して回り、地域ごとの文化や風土の違いに触れられたよ。駐在員と一緒にヨガの体験イベントに参加したことも印象深い。

神崎海に面したシドニーはマリンスポーツやマリンレジャーが盛んで、週末に船上パーティに誘ってもらったことも。またコーヒー文化も根付いていて、毎日のようにカフェに足を運んだことや、ラテアートを体験したことも良い思い出。

笹治メキシコではパデルというラケットスポーツが流行していて、仕事終わりによくプレーを楽しんだ。現地のカルチャーで驚いたのが、何歳になっても大々的に誕生日パーティを開いて大勢で祝うこと。メキシコの人たちは人生を楽しむこと、仲間たちと遊ぶことが上手いなと感嘆した。

派遣経験で得た学びや視点を
部署での業務に活かしたい

石井社会インフラ部でインドを担当し、インドの案件にも携わっている今、ニューデリーでの経験は業務にダイレクトに活かされている。インド社会では肩書が重視される傾向があり、例えば面談でも双方の出席者の役職を同レベルにした方が良い。そうしたインドの人々の考え方や価値観も現地で業務を経験したから分かったこと。インド企業特有の温度感の把握を心掛けるとともに、インドの投資環境も意識しながら、担当案件に取り組んでいきたい。

神崎得た学びの中でも特に今後に活かしたいのが、グローバルな視野でものごとを捉え、横のつながりを意識すること。所属するエクイティ・インベストメント部で取り扱う出資案件は国もセクターも多岐にわたる。だからこそ、今後は個々の案件を点で見るのではなく、より広い視野で俯瞰して線で捉えることを意識したい。

笹治事務所の方々と一から関係を築き、試行錯誤しながら自分の役割を少しでも発揮できたことは自信につながった。現在携わるソブリン案件では、相手国政府や政府機関のキーパーソンとの関係構築が重要になる。メキシコシティー駐在員事務所でも、駐在員が個々に培った現地の人的ネットワークを活かして案件を進めていたことが印象的で、日頃から意識的に人と人とのつながりを大切にすることの重要性を改めて感じた。今後も、多種多様な分野に触れる機会があるJBICで挑戦を重ね、学生の頃は想像もしていなかったような仕事を経験していけたら嬉しい。

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